湖北

27歳の年に湖北の高校に初めて赴任して以来、湖北は好きな土地になった。古くからのしきたりとかもあって保守的な土地なのかもしれないが、なぜか相性が合うように思える。勤務したのはたったの三年間だったにもかかわらず、いまだに多くの方と交流をもたせてもらっている。

以前ある人に、湖北は賎ヶ岳や姉川の戦い小谷城の戦いなど戦ばかりがあって先祖の方は苦労されたんでしょうね、と話したら、その度に観音さんを土に埋めてまで守って信仰を大切にしてきたんや・・と話しておられた。そのことを誇りに思っておられるのだろうと思う。以前は伊吹の中腹や己高山などに多くの寺院が立ち並び、昔から信仰の盛んな土地だった。今は観音の里という表現をされている。

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もう二十年ほどになるか、ある時から般若心経を唱えるようになった。仏教のもっとも深いエッセンスをまとめた経だが、このお経には観音菩薩が出てくる。

私は浄土真宗の檀家の家に生まれ、実家の隣は真宗の寺だった。小さい頃によく境内や本堂で遊ばせてもらった。本当にありがたい環境で育ててもらったと思う。

アメリカへ行った二十代の頃に仏教をよりどころにすればいいと気づき、それ以来、釈尊親鸞日蓮道元良寛白隠空海など多くの宗派の本を読み、お経を読み、寺に行ったりもしたが、ほんとうのよりどころは何なのかもうひとつわからなかった。ただ、いまは生まれ育った真宗の信仰ではあるものの、観音の信仰でいいように思っている。自然と般若心経を唱えるようになり、十句観音経を唱えるようになった。多くの観音や地蔵菩薩のおられる湖北もその縁かもしれないと思っている。